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『ロゼさん……。』
『けどさジュラ。マキナと娘さんをいくら重ね合わせても、マキナはマキナだ。
だからビシッと言う時は言わないと「立派なオヤジ」じゃないんじゃね?』
『ハハハ(ロゼさん、貴方って人は……)。
そうですね、そこはビシッと「盗み聞きは良くないぞ」と叱らないとダメですね。』
(えっ!! あっやっぱりバレてたか。)
マキナは扉の隙間からゆっくり顔を出し、苦笑いで謝った。
『あははは……ごめんなさい。』
『お前さ。尾行したり盗み聞きしたり、そういった仕事出来んじゃないか?
やる気があるならギルド紹介するぞ?』
『け、結構です!! 私、寝ます!!』
慌てて引っ込むマキナを見るジュラの顔は優しい父親の顔をしていた。
今日は外から入り込む風はやけに冷たい。
雲に覆われた月からは月光もなく、ただただ冷え切った心のような風が吹いているだけだった。
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