42人が本棚に入れています
本棚に追加
『私はいつまでも迷惑かけていられないんです!!(もう既に迷惑掛けちゃってますけど!!)』
「ヤァーーーッ」っと、叫びながらモップの柄をハチャメチャに振り回しながらメガネの男目掛けて突っ込んでいく。
メガネの男はかなり困惑しつつ、あたふたしながら
後退り後ろ向きに盛大にコケた。
『えっ!? ちょっとまっ……あぁーーーーッ
!!』
雨が強まる中、裏路地を走り回るロゼ達の耳にどこからか男の叫び声が聞こえた。
ロゼはジュラと視線を合わせ、叫び声がした古びた建物に躊躇なく、そして静かに入っていく。
立入った建物の一階はホコリ臭くてカビ臭い。
あちらこちらに蜘蛛の巣が掛かっていて住んでいるようには見えないが、当然生活感も無く、そこら中にホコリは溜まっている所そうでない所がハッキリしている。
つまり「生活はしていないが誰かは出入りしている」という事はハッキリした。
辺りを見渡し一階の部屋にも気を配るが人の気配はない。
二階から気配と物音が聞こえ、二人は一気に階段を駆け上がる。
飛び上がる様に、物音を立てずに階段を上がり踊り場に来た時、ジュラが指を差し小声で言う。
『ロゼさん。』
『これは……饅頭屋の。』
指を差す場所を見ながらゆっくり音を立てず歩み寄ると、そこには饅頭がまだ入っている袋が踏まれた状態で落ちていた。
二人は建物に立入った時以上に気配を押し殺す。
自分達の足跡以外を確認し、その足跡が奥の部屋に続いているのを確認した後、ロゼはすぐ隣の部屋に人の気配が無いのを察知し奥へと意識を集中させる。
すると、それと同時にその奥の部屋の中から「ドサッ」と何かが倒れる音がした。
最初のコメントを投稿しよう!