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何かが倒れた音を確認したロゼは、ジュラにここで待つようにと指示を出し、スッと奥の部屋の扉の前に移動する。
扉には鍵穴も無く、中の様子が伺えないが意識を集中させると気配が3つ有るのがわかった。
そっとドアノブに手をかける。
一気に扉を開け中へと入るが、早速一番その目に飛び込んできたのは、「股間を押さえ、前のめりで泡を吹いて気絶した男」と「前歯が折れ、鼻血を出し白目をむいたまま気絶している男」。
そして、その傍らで力が抜けたように座り込みモップの柄を握ったままのマキナだった。
『……ロゼ……さん?』
『これ、お前ががやったのか?』
マキナはコクッと力無く頷くと、部屋の中にジュラが入ってくる。
そして「ほほぅ」と言いながらジュラは筋肉質の男に歩み寄り眺め呟く。
『これはこれは。見事「急所」を突きましたねぇ。いや「突いた」というよりは「蹴り上げた」が正しいですかね。いやいや、これはこれはご愁傷様です。』
チーンと音がなった気もした様な、しない様な。
ジュラは憐れみの顔で手を合わせている。
マキナは緊張の糸が切れたのか、モップの柄を握ったまま泣き出した。
それを見たロゼとジュラは思わず笑ってしまった。
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