Episode 3

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その夜。 昨日と同じ宿屋いるロゼはまた夜の外を眺めていた。 昼間降っていた雨は、あの古びた建物から出た時には止んでいて、空は晴れ月が輝き月明かりを灯す。 今は街の通りには多くの人が出歩いている。 コンコンと叩く音がし扉が開く。 そこから空気の流れと共にいつもとは違う香りが部屋を満たす。 『ロゼさん、お疲れ様でした。』 『本当だよ全く。って、この香りはいつもとは違うやつ?』 手渡されたカップの中身はちょっと濃い茶色のハーブティー。 マキナが二人にお詫びとして饅頭と一緒に買った物。 『あの時買ったやつか。』 『えぇ。とても美味しいです、でも饅頭には合いませんけどね。』 そう聞いたロゼはゆっくりと一口飲む。 普通の紅茶にしてはクセが強い。 フルーツティーと比べるとランクは劣るが不味くはない。 一口二口とふくみながら、一息。 そのまま月を見上げると、自然に笑みがこぼれた。 『意外に美味いな。けどコレ、マジで饅頭とは合わねぇよマキナ。』 とうの本人は疲れ切ったのか既にベッドで横になっている。 物静かな部屋の中に聞こえる寝息。 外からは逆に露店で賑わう人の声、昼間の雨で出来た水溜りに反射する月明かり。 この時代、生きてればこんな事もあるかと思いながら、部屋の二人は紅茶を飲み、それに合わない饅頭を頬張っていた。
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