42人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
雲一つ無く晴れ渡る空。
近くを流れる川からは、音だけで涼しくなれる音が聞こえ、森を通ってきた風はほのかに熟した果物の香りを運んでくる。
『誰かー!!』
突然、女性の叫び声で辺りの雰囲気がガラッと一変する。
栗色の長い髪を揺らしながら必死に走る女性の服は何かに引き裂かれたように乱れ、裸足のまま何かから逃げるように森を駆けていく。
走りながら後ろを見ると、刃物を持った4人の男が追い掛けてきていた。
『キャ!!』
よそ見をしたせいか、木の根に足を引っ掛け躓(つまづ)く。
急いで立ち上がり走ろうとするが、男達の足元が視界に入り女性は顔を強張らせながら見上げる。
最初のコメントを投稿しよう!