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ムガの村には、贄として消えたはずの村の女達が次々と戻り、歓喜の声が上がっていた。
だがそこにはロゼの姿は見当たらない。
『あの……ガルムさん。ロゼという方から伝言を預かったのですが。』
そう一人の女性が静かに言う。
『ロゼさんから?』
『はい。
「一宿一飯の恩義は返した。長として村の人々、妹さんを大切に。」と。』
『…………。』
『もう一つ言っていました。
「犯した罪は消える事はない。
でも罪を犯し、その罪を背負う事は罪じゃない。
本当の罪とは、罪を犯した者がその罪を背負おうとせずに仮面を被る事。
だけど、その仮面を外した今の皆さんなら、本当の意味で「守る事が出来る」と。』
空を見上げると、村の人々の心を覆っていた物が綺麗に消えたように雲一つ無い。
ガルムは胸に手を当て目を閉じると、自然に頬を伝う物が溢れ止まらなかった。
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