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洗面所へ行き鏡を覗くと、真っ赤な髪は台風が通り過ぎた跡の様に乱れきっていた。
『……酷いなこれ。』
そのまま風呂場に入り、勢いよく湯をかぶる。
暴れていた髪を手ぐしで解きながら、少し溜まった湯へと静かに身を沈め目をつぶる。
かすかな隙間から街の活気が入り込む。
それを聞きながら瞼の裏で浮かぶのは「あの時の事」。
そう。「洞窟内で裁きを実行した」あの時の事……。
全てが鮮明に思い出せる。
ロゼは目を開け両手を見詰めたまま、呟いた。
「俺は……本当に人間なのか?」
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