Episode 2

17/73

42人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
『……どうして村を救ってくれたのに、何も言わずに居なくなったりしたんですか?』 その問いに対し、鳩を追いかける猫をみながらも表情を変える事なくロゼは静かに答える。 『「礼を言われたい」「皆から褒められたい」「見返りが欲しい」……。 人それぞれ色んな願望、欲とも言っていい。そういう物がある。 だけど、俺はそんなつもりでやった訳じゃないし。』 『例えロゼさんがそういった願望を思っていてたとしても、助けてくれた方にお礼をするのは人としても当然の事だと思います!! だから何も出来ない分、身勝手でもせめて一言だけでもお礼を言いたくて……』 そう言ったマキナは立ち上がると、ロゼの前に立って頭を下げた。 『本当にありがとうございました。』 『…………止めろ。』 その低く暗い声にマキナは聞き覚えがあった。 自分が悪人に追いかけられロゼに助けれた時、ロゼが言葉を発した時の声そのものだった。 マキナは顔を上げ、ロゼの顔を見る。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加