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目に入った顔は、さっきまでの顔とは真逆と言って言い程、悲しい顔をしていた。
『俺は礼を言われる様な事は何一つしちゃいない。一宿一飯の恩義だと言っただろ?』
『でも皆を助け……。』
『殺したんだ。』
マキナの言葉を遮るようにロゼは静かに、そしてハッキリと聞こえる声量でそう言った。
『えっ?』
『確かに村は救われた。
けどね、それは誰も知らない表面上での結果でしかないのさ。
マキナも村の人達も知らない……
『「犯した罪は消える事はない。
でも罪を犯し、その罪を背負う事は罪ではない。
本当の罪とは、罪を犯した者がその罪を背負おうとせずに仮面を被る事。」
だから罪人(彼奴等)を殺した。それが俺の仕事(業)だから。
礼を言われる筋合いもなければ、堂々と村に戻る理由も無かった。
それが、黙って居なくなった本当の理由さ……。』
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