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優しく吹いたその風は、ロゼの暗い影を静かに吹き飛ばした。
『「犯した罪は消える事はない。
でも罪を犯し、その罪を背負う事は罪ではない。
本当の罪とは、罪を犯した者がその罪を背負おうとせずに仮面を被る事。」
そう言いましたよね?
ロゼさんの言った事が真実でも、村の皆を救う為にその罪を背負ったと言うのなら、私はロゼさんを責める事なんて出来ません。
もし村の皆がこの真実を知ったとしても、きっと私と同じ気持ちのはずです。
ですからロゼさん。
言葉だけのお礼ですが、受け取って下さい。』
ゆっくり頭を下げたマキナを、ロゼはただ黙って見詰めている。
顔を上げたマキナの表情は笑っていて、ついその表情にロゼも釣られ笑ってしまった。
『……ったく何だよ、俺が格好悪い(ばか)みたいじゃないか。』
そう二人が笑い合った時、噴水前に群がっていたハトが一斉に大空へと羽ばたいた。
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