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ロゼは歩きながらゆっくりと剣の柄に手を掛ける。
視線だけで周りを確認しながら進むと、近付くにつれ焼け焦げた匂いは強さを増し、何が焼けたのかが判った。
『馬車か。それに……。』
炭になった木屑を足で退けると、真っ黒になり異臭を放つ「手」が見えた。
目で確認出来る限りでは馬車の数は二台。
『酷いな…』
ロゼはその「手」に合掌しすぐさま剣を抜き、焼けた遺体に剣先を少し刺した。
『同じ「死ぬ」でも、そのままよりは「砂に還る」方がマシだろ?』
すると、見えていた焼け焦げた手はサァーっと音を立て砂になっていく。
『安心して逝きな。アンタ等の代わりに「罪を背負って裁きを下してやる」から。』
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