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しばらくすると女性は気を落ち着かせたのか静かに話し出した。
『私、近くの村に住むマキナって言います。あの……貴方の名前は?』
『ロゼ。って言っても本名じゃないけど。』
マキナが「えっ」と表情を変えると、ロゼは付け加えるように言った。
『ガキの頃の記憶が無くてね。親代わりだったオヤジが付けたらしくて、だから本名は判らない。』
『ご、ごめんなさい!!』
そうマキナが謝るとロゼは笑った。
『謝る必要は無いさ、たかが名前の事だ。』
『たかが名前って……名前は大切じゃないですか。』
『確かに大切かもな。だけど本当に大切なのは名前なんかじゃない。
今この一瞬一瞬、そこに存在している誰もがどう生きて行くかって事の方が大切な事じゃない?って俺は思うけど。』
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