輪の外側

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  重しのように体にまとわりつく濡れた制服を脱ぎ捨ててシャワーを浴びる。 浴室の鏡に映った自分自身の姿にまた吐き気がした。 日頃日中は外で過ごしているせいで、肌ばかりが健康的に焼けている。 そのくせ覇気のない顔に無表情を張り付けた、アンバランスさが不気味だったからだ。 いつからこうなってしまったのだろう。 嗚咽だか吐き気からくるものか分からないものが喉の奥から込み上げて、しかしそれはシャワーの音にかき消される。 特に趣味もないので機械的にやるべきことを終えた深夜。 玄関からの物音がして、様子を見に行ったら驚いた。 「……母さん?」 今頃『夜』の仕事をしているはずの母親。 着替えもせずに、こんな時間に帰ってくるなんて。 母親の『女』の姿は、できれば見たくなかった。 しかしどこかおぼつかない足取りに異常を感じ、駆け寄って体を支える。 つん、と酒と香水のにおいがした。 「ああ、ごめんね。ちょっと体調が悪くて……先に上がらせてもらったの」  
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