破れたページ

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  夏の日の午前。 太陽は容赦なく照りつけて、俺の体力を奪っていく。 これで暑さのピークは昼過ぎだというからため息の出る話だ。 指定の鞄片手に、いつもの公園で時間を潰す。 木陰の下のベンチが特等席。 ちょうど木に囲まれるようになっていて、人目につきにくい。 制服姿でここでぼんやりしていようと、補導されたことがないのがその証拠だと思う。 学校には、行かない。 母親は、俺が毎日学校に行っているものだと思い込んでいる。 だけども実際は、必要最低限の日数しか学校には行っていなかった。 例えば、雨。 公園で時間を潰すわけにいかないから。 クラスメイトからはきっと、『雨の日しか学校に来ない妙なヤツ』なんて思われてるんだろうと思う。 例えば、テスト。 日頃の授業を受けていないくせに、テストの点だけはしっかり取る俺を教師はどう思っているんだろうか。 四つ折りにされた成績表の最下部、出席日数。 折り目に沿って綺麗に切ってしまえばまったく分からないだなんて。 小手先の嘘で母親を騙すことへの罪悪感にも、もう、慣れた。  
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