左胸に抱く子猫

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  「たぶん、意味不明になるよ。伝えるの苦手だから」 「いいよ。全部聞きたいから。聞かせて」 僅かに躊躇った俺の言葉を遮るように、ミケは即答した。 ただの他人である俺にどうしてここまで構うんだろう。 今まで俺の存在は誰かに触れることなんてなかったのに。 俺は全てをミケに話した。 学校には居場所がないから行きたくない、だけど、母親を裏切れない。 今は母親を騙している。 理想を託してくる母親が嫌い、だけど、大切。 父親の散った空が気持ち悪い。 どこまでもつきまとう閉塞感。 それはきっとあの空が押しつぶしてきそうだから。 そうやっていつまでも周りのせいにしかできない自分の価値が、見えない。 「そっか」 全部話し終えた時、ミケの反応は驚くほど淡泊だった。 それでよかった。 同情も慰めも要らない。 ただ、否定しないでくれたらそれでよかった。 こうやって汚いものがたくさんたくさん渦巻いてごちゃごちゃでわけがわからなくても、それが『俺』だから。 『俺』を否定しないで欲しかった。  
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