破れたページ

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  いつもの場所に座って、鞄から教科書を出した。 あえて言うならばここが俺一人の学校だ。 クラスメイトも教師も必要ない。 教科書だけが俺の先生。 もの言わぬ無機物と接するだけで済むから楽だ。 まとわりつくように体中を撫でる暑さに、じんわりと汗をかく。 けたたましく鳴く蝉は、僅かな命を次に繋ぐために必死なんだろう。 公園の脇の熱く焼けた道路を滑るタイヤの音が、ひっきりなしに空気を伝う。 俺はそれら全てを意識から排除した。 勉強するのに不必要どころか邪魔だから。 そうやって一人の世界に没頭し、おそらく今日の授業ではこの程度進んだだろうというところで教科書を閉じた。 ふうと一息ついて、鞄からペットボトルを取り出す。 「ねぇ、何してるの?」 飲みかけたお茶を噴きそうになった。  
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