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その動作で、机に置いてある丸められた便箋の幾つかが床に落ちる。
アルトへの手紙を書き始めてから既に三時間。
最初のMAX敬語で書いたもの(レイ曰く『どこの国の王子様に宛てた招待状だよ!』)と比べたらかなりよくなったと思うのだが、それでも改善点はまだまだたくさん出てくる。
勉学に関してはそこそこ出来るという自負はあったのだが、どうやら手紙を書く才能は無いらしい。
事実、頭がへとへとに疲れてもう一文字も書けない状態だ。
「だいたい、こんな回りくどい方法でアイツを誘うよりも、直接会って話したほうが絶対にいいと思うんだけどな……」
自ら没宣告を降した手紙をひらひら振りながら、レイが声をかけてくる。
「だって……」
同じ体勢のまま、泣きべそをかいているかのような口調で次の言葉を続ける。
「直接会ってアルト君をデートに誘うなんて、そんなの恥ずかし過ぎて無理だよぉ……」
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