~プロローグ~

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ここで彼の言うやんちゃというのは、単純に悪戯が好きだったとかそういう生易しいものではない。 レイは元々北部地方出身の戦争孤児で、今のガートラート家の養子になるまでは、まさに生きるか死ぬかのギリギリの生活を送っていたらしい。 当然そんな環境で育ったものだから他人を心の底から信じることなどできず、固く心を閉ざして、会った当初は頑張って打ち解けようとしていたケイトに対しても非常に冷淡だった。 その後“ある事件”がきっかけで彼との仲が急速に縮まり、レイも徐々に明るくなっていったのだが、やはり多少の不思議な感覚はいがめない。 どうにも今のレイは、昔のレイとは別人なのではないかと時々思えてしまうのだ。 「ふふ。子供の頃って。今でも私達子供じゃない」 「るせぇ。俺はもう大人のつもりだ。 それより、これからどうする? まだ続けるか?」 「ううん。レイ君の言ったとおり、アルト君に直接会って誘うことにする。 明日の魔法薬学の授業の時にでも。 だから本当に、ごめんね。レイ君も忙しい時なのに、私のために無駄な時間を使わせちゃって……」 「いいんだよ。別に気にすんな。 俺はいつだってお前の味方なんだからよ。 だから当たって砕けて来い。ちゃんと大きめのハンカチを用意しといてやるから」 「私が失敗すること前提!?」
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