小樽航空戦

17/18
前へ
/731ページ
次へ
一方の新谷は北野の右を飛行していた。 「照人、やる時はビシッとやってくれ。俺は邪魔をちゃんと排除する」 「おい新谷、何時までピッタリと付いているんだ。とっとと背後の敵機を墜としたらどうなんだ?」 「ああ、そいつは気にするな」 北野は首を傾けた。何故?もう一度彼は後ろを見た。すると敵機が誰かに追われているのか回避行動をとっていた。追っているのは雲の中の誰か。機首が見え、やがて機体のすべてが見えた。白露と書いていた。竜乗だ。敵のAs61は何度も右へ左へと回避した。 「проклятие,Выйдите!(畜生、離れろ!)」 As61のパイロットは彼を振り切ろうと必死だった。だが軍配は竜乗に上がった。雲の中に入ったときにどうやら振り切ったと思ったのだろうか。As61のパイロットは回避行動を止めて水平飛行をしたのだ。赤外線ゴーグルを付けていた彼はそれを見逃さず、背後から忍び寄り撃墜した。 「よし照人、そろそろだな」 新谷は北野に言った。ある程度敵の護衛機が片付けられ、爆撃機わ墜とすのにはちょうど良いくらいになった。もう直ぐ艦隊にも近付く頃だ。これがチャンスとなる。 「此方電光。電光隊各機へ、最後の攻撃だ!一気にいくぞ!」 「了解」 Fu12へ一斉に攻撃を開始した。夕雲隊は敵護衛機を電光隊に向かわないようにするために追い回した。離れていた言音も加わり、電光隊の仕事が終わるまでフォローした。 「Враг aircraft'll приходят, чтобы получить выстрел!(来るぞ、放て!)」 生き残りのFu12達は電光隊を攻撃した。そんな中、北野は上から一撃離脱。防御火器の抜け目のない弾幕をかわし、機体中央に大穴を開けて真っ二つにした。近くにいたAs61は間に合うことが出来ず、ただただFu12達が墜ちてゆくのを見るだけであった。水蓮、光陣、霊水(四番機)がこれに続き、Fu12は全て片付けられた。 「В штаб-квартиру, операции недостаточности. Для возврата(本部へ、作戦失敗。帰還する)」 多分、敵護衛機部隊の隊長が言った言葉だろう。これを聞いたAs61は直ぐに帰って行った。
/731ページ

最初のコメントを投稿しよう!

241人が本棚に入れています
本棚に追加