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「此方竜神、今度は戦闘機です。その数八十機!いや、それ以上!」
幸世が声を張り上げた。
「此方白露、隊長は?」
竜乗は落ち着いた口調で幸世に聞いた。
「今補給が終わったみたい。これからそちらに向かうわ」
「ハァ~、良かった~」
竜乗は安堵した。
「みんな聞いてくれ」
通信が瀬戸に代わった。
「これより出雲と和泉より『十七号弾』を発射する。済まないが少し艦隊の上空まで下がってくれ。十七号弾はこれまでの『八号弾』より威力や破裂時の拡散範囲が大きい」
八号弾はこれまで出雲と和泉が使っていた46センチ砲用の対空弾であり、今回の十七号弾は新型の対空弾だ。八号弾同様広範囲に白燐の詰まったボムレット(小爆弾)を散布し、それを弾幕を張るような形で攻撃するものだ。一発で直径150メートルは空を火の海にできる代物だ。
竜神作戦指揮室
「さて、十七号弾はいかに…」
瀬戸はいすに座りながら不安そうに呟いた。
「やはり不安か?」
後ろから声が聞こえて振り向いた。
「司令!」
彼は驚き立ち上がった。
「そのまま楽にしていろ、瀬戸」
黒田はこんな時も冷静で顔の表情も変えてない。
「実は十七号弾は実戦でちゃんと仕事をしてくれるのか不安になりしてね。進言はしてはみましたが…」
「よいか瀬戸、何事も初めては
不安になる。恐れは禁物だ」
その時、
「此方出雲、十七号弾の射的に敵機が入りました」
「此方和泉、射程に入りました」
敵は反応からAs61だ。
「十分に引きつけろ…後少し…
今だ撃てー!」
黒田は大声を張り上げたと共に出雲と和泉の46センチ砲からの強烈な衝撃波と共に十七号弾が闇の中のロシア軍戦闘機達目掛けて飛んでいった。
その姿は言音達にも見えた。そして砲弾の飛ぶ先にはAs61姿も見えた。
「三、二、一…」
幸世が数え、叫んだ
「炸裂」
その刹那に十七号弾は天と海を揺るがす轟音と共に炸裂。
木製であるAs61の多くは火の玉は疎か、形も無かった。
「命中確認」
幸世が静かに一言。炸裂の様子は竜神作戦指揮室のモニターに映し出された。
「後は残党ね。全航空隊及び飛行隊へ。全機を撃墜せよ」
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