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「空軍もやるなー、ならば海軍の意地って物を見せてやろうじゃないか」
新谷はそう言うと背後に付いていたAs61に一言物申した。
「やい、テメェらロシアは木の板の固まりのAs61しかいねぇんか?」
と言ってフラップ下ろして右に急旋回。負けじとAs61後ろに付かれまいと右に旋回するもAs61の方が大回りなので
「ヌォ!付かれただと?」
それでもまた後ろ付こうとスロットルを絞り込んで回り込もうとするも、どんどん新谷の『夕雲』有利になった。そして夕雲の機銃が火を噴き、As61を木端微塵した。
「ちょっと手こずったかな?」
新谷は総括した。
因みにロシア軍は何故As61だけかと言うと、他にも機体はあるものの航続距離が最も長く、数が日本海側に多くあるからである。
予備知識はさておき、朝日が東方の山々より昇りだした。
「すっかり朝じゃねえか!俺の睡眠時間を返せー!!」
眠る事一つできなかった啓示は不機嫌だった。前から向かってきたAs61のエアインテイク(空気取り入れ口)に向けて、
「俺の目の前に現れるなー!」
と言って機銃を一斉掃射。これには直ぐに前方のAs61は上に逃げるが、
「バレバレの動きをするなー!」
と彼も操縦桿を引き、機首を持ち上げて背後を取り再度掃射。
「ウァ、冗談じゃねーぜ!」
とAs61は回避するが、啓示は執拗にこの機体を攻撃。眠りの恨みと言う奴か。最後は啓示が相手のAs61の胴体を20ミリ弾が貫き勝利した。
「おい、あの海軍の奴、随分変な飛び方をしたな」
水野が啓示のあの無茶苦茶な飛び方を見て言った。しかも、少々呆れた感じの話し方だ。
「仕方ないさ。寝れないというフラストレーションが溜まってるんだ」
と新谷が答えた。その瞬間、
「ア゛ー!!!!」
啓示が奇声を上げた。
「…」
そして誰もが言葉を失った。
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