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「失礼します。司令、お呼びでしょうか?」
言音が応接室にやって来た。
「来たか。楽にしてくれ」
黒田は言った。彼の座るソファー、そしてテーブルを挟み迎え側のソファーに一人の航空服に身を包んだブロンドのロングヘアーの女の子が座っていた。
黒田のソファーの背後で立っていた瀬戸が調書を片手に
「Теперь, это научит Itadako имя, место работы и класса(では、名前、所属、階級を教えていただこう)」
とロシア語で質問。瀬戸は語学堪能の男である。
とブロンドの女の子が口を開いた。
「レーナ・リオシス。本名はエレーナ・アレクセエヴナ・リオシサ。ロシア空軍第二十五航空師団、第一一七戦闘飛行隊、通称オヴェーン隊。コールサインはウラジオストクの赤い11。階級は中尉。年は18だ」
流暢に彼女は日本語を話した。続けた彼女は
「日本軍は僕を『血のレーナ』とか言ってたね」
彼女が血のレーナだった。
「私が知るところ撃墜数七十七機と聞いた。君は立派な撃墜王だな」
黒田は彼女に日本語で話す。
「未確認を含めればな。ところで、そこのいる娘は?」
彼女は質問外の事を言い出した。羽鳥が困った顔をして瀬戸とひそひそ話をした。
「大丈夫ですかね?参謀長。完全に嘗められてませんか?」
羽鳥は瀬戸に尋ねると
「大丈夫だろ。通称『おしゃべり仮面』って言われている御方だ。これ位でなければ彼は楽しくないだろうから」
と会話した。それをよそに黒田は
「彼女かい?君を撃墜した子だよ」
と言った。表情も変えずにレーナは
「名前は?」
と聞くと、黒田は
「言ってやれ」
と言音の方を向き言った。言音はレーナの方を向き
「藤野言音。航空母艦竜神所属、第二十七航空隊“夕雲隊”所属。階級は少尉。16歳」
と軍隊らしくはきはきと言った。
「ヘェ、君が僕を墜としたんだ。良い腕をしてるね」
とレーナは話し終えると笑顔になった。
と黒田は此処で
「さて本題に入ろう。私は君に日本軍に入ってもらいたい」
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