一、絶海の孤島

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―――「おっ!見えてきた!」 思わず声を上げた俺。 いつになく声を大きく上げてしまったのは、いつもよりテンションが上がっているからである。 テンションが上がっているのにはもちろん理由があるわけで、それは俺も、俺の周りにいる仲間達も同じだった。 「うぉ!ホントだ!お~いみんな!見ろよ!」 「わぁ~!あれが朧島だね!思ったよりおっきい!」 俺たちは今、旅行に来ていたのだ。 小型のフェリーに乗って、絶海の孤島『朧島』へと向かっている。 「雄一!写真撮ってくれよ!俺と亜季のラブラブショットをな!」 「任せとけ。ほら、ラブラブっぷりを見せろよ」 「イヤ!みんな見てるし!」 雄一。夏目雄一(なつめゆういち)。それが俺の名前だ。 そして俺の前でイチャついてるカップル、これも俺の友人。 男は長めの金髪に、小麦色の肌、耳にはいくつものピアスを付け、鼻にも一つ。
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