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木根塚さんは私がこうしてプカプカ浮かんでいても、特に何も言わない。
初めて会った時も、最初は戸惑っていたけど、『個性的ねぇ』とあっさりと納得していた。
「……苛められてなんか、ない」
みっともない、大人にはすぐに分かるような薄い防壁。私はそんな盾で自分を守る。
「あっそう。なら早くいらっしゃい。ご飯が冷めちゃうでしょ」
そう言って、木根塚さんは素っ気なく部屋から出ていってしまった。
寂しかった気分がより一層沈んだ。
放任主義、という奴なのかもしれない。
浮かぶのを止めて、地面に足をつける。
でも、浮遊感は無くならなかった。
無くならなかったじゃなくて、私には元から漂う浮遊感も地に足ついた安定感も何もないから、変わった気がしない。
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