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『うわぎゃぁぁぁあああ!!!!!』
…………
よかった誰もいない。嫌な夢を見たなぁ
額の汗を拭うと、ため息をつく
『(ってここどこだ……?』
見たことのない天井、寝かされていた布団。多分あの後土方さんが運んでくれたんだろう
『(後でお礼言おう)』
ガラッ
「大丈夫かぁ!?」
『え?あ、ハイ』
全く噂をすればなんとやら。土方さんの登場です
土方さんは綺麗な目を見開いて驚いた顔をしていました
「お前……何で泣いてんだ?」
ハッとして目元を触ると、確かに濡れた感覚があった。そして頭の上にポンと手が乗った。
『土方さん……?』
近い近いよ!おかあさーん!
『ちょ!ややややめてください!人は涙の数だけ強くなれるんでだだだだだだ大丈夫ですっ!////』
未だに赤子をあやすようにポンポンする土方さん。恥ずかしさから涙も引っ込みました。
「無理すんなよ……テメェみたいな餓鬼が泣くのを我慢するんじゃねぇ。テメェみたいな餓鬼が何でもかんでも背負い込むんじゃねぇ」
──うちは間違っていたかも知れない
この人は鬼の副長と呼ばれる土方歳三さん。
鬼は血も涙も無いだなんて言うけど、見せないだけで本当は苦しんでるんだと思う。
この人はうちの分まで背負うというのか。この新撰組を担いでいるその上にうちまで背負うというのか。
だったらうちは……
『背負い込んでなんていません。うちはうちの考えに生きる、それだけです。あなたにそんな迷惑をかける義理もないし、筋合いもない。だから……お気持ちだけ貰っときますよ』
あなたの様な人に自分の重荷は背負わせません。意地でも絶対に。
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