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明るくも慎ましやかに一家が暮らす、極普通の家だ。
この家の家主は、輸出入でカナダと取引をする商社の社員で、これと言って特別な人間ではない。
家族は家主とその伴侶、それに息子が二人。
ジョーカーの息子、エドガーと同じ歳の長男と、2歳下の弟。
弟の方は5歳にしてミシガン大学アナーバー校に入れる程の秀才児だそうだ。今は大学の寄宿舎にいるらしい。
キングは家主の帰宅を待って、夜半にその家を訪れた。
「ロイスさん、夜分に失礼します」
「どちら様でしょうか」
「私達は国家安全局からまいりました。ギルバート・キングと申します」
「どのようなご用件ですか?私は国家の安全を脅かすような仕事はしていないはずですが」
「それは承知しております」
「ではなぜ」
「単刀直入に申し上げます。そちらで保管されておられる古文書についてです」
「古文書?ああ、親父が残して逝ったあれかな」
「お見せ願えますか?」
「こんなところでは何ですから、中へどうぞ」
家主に促されるまま、キング達は家の中に入って行った。
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