負の遺産

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 キングも齢五十歳にして、未だ現役の怪盗として世界各地を渡り歩いていた。  そろそろ後継者を選ばねばならない……実はキングにも未だ後継者がいなかった。  世界各地に点在する手下の数もゆうに1000人を越え、その全てを把握する事すら難しい状態だ。それだけに、その全てを任せられるだけの器が欲しい。  スカルが自分にそうしてくれたように、その全てを叩き込み、後継者とするには時間が掛かる。  人望、能力、判断力、そして自らが動ける行動力。  その全てが揃った人間など、そう簡単に見付かるものではない。  イギリス特派員の中にもインド特派員の中にも、優秀な人材はいると聞く。  いっその事、各地に点在する優秀な人間を一同に集め、競わせてその中から決めたらどうか。キングの決意は固まった。  それには普通の簡単な盗み程度では決断が下せない。  考えあぐねた末、出した結論は、スカルの集めていたあの石を取って来させる事。  あの石の魔力にすら打ち勝つ事の出来る人材こそ、後継者として相応しい。  それにはまず、エンジェルストーンの手掛かりを探させて、その情報を真っ先に持って来た人間上位者で人数を絞る。  ディアボロスストーンには、それぞれ自分の持てるだけの経験と実力を以って罠で封印してある。その全てを突破出来てこそ、自分の実力を越えたと判断出来る。
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