負の遺産

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 そう思いながら、悶々とした日々を過ごしていたある日。  軍人上がりのカーネルと言う部下から、エンジェルストーンの情報が齎された。コードネームはジョーカー。少々荒っぽいところはあるものの、仲間からも厚い信頼を集めている。  その情報とは、ディアボロスストーンと同じように、エンジェルストーンにも、その発動には一種の呪文のようなものが必要だと言う事だ。  今、その行方を追っていると。  ディアボロスストーンの現状を知っているキングにとって、この情報は十分納得出来るものだった。スカルもエジプトで発見された古文書を元に呪文を解読し、5つ全てを集めて唱えた瞬間、石にその魂を吸い込まれた。  不気味な暗闇を放つ石から最後に聞こえた『私は必ず復活する』との恨みの籠もったスカルの声は、今でも耳から離れない。  結局、防ぎ切れなかった。  スカルに先んじて最後の石を発見こそしたが、ヤツに奪われ、結果的に世界の破滅を防ぐ事は出来たものの、未だその石の脅威から世界が救われたわけではない。  コアとなるルシフェルストーンは、キングの経営する孤児院に安置してある。  この孤児院は、キング達が誤ってその両親を死に至らせていまった子供達への償いとして、最近になって建てられたものだ。よって世界各地から人種の違う子供達が集まっている。  遥か遠い国、日本。  祖国であるアメリカに建てなかったのも、その巨大すぎる石の力を恐れての事だ。野望渦巻く大国に保管するにはあまりにも危険過ぎる。  キングもそれに合わせて日本に移り住んだ。
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