後継者の宿命

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後継者の宿命

 それ以来、ジョーカーは常にキングと行動を共にした。  キングもやっと出来た後継者の育成に励んだ。  時には親のように温かく、時には鬼のように厳しく。  キングも信用して、その全ての技術を教えた。  ジョーカーの息子、エドガーも、最初はなかなか孤児院に溶け込めずにいたが、次第に友達を増やしていった。今や孤児院でもガキ大将だ。  それから2年。  キングは例の古文書と持つと言う一家の家に行く事に決めた。  ジョーカーはディアボロスストーンに触れたにも拘らず、然したる変化は見受けられない。これなら大丈夫だろう。  バエルストーンは再び寺院の洞窟に封印してある。  あれ以来、ジョーカーもルシフェルストーンが見たいと言い出す事はなかった。もしかしたら、少なからずあの石の力をその身に感じたのかも知れない。  キングはジョーカーと連れ立ってアメリカに向かった。  ミシガン州の都市ポートヒューロンはヒューロン湖を隔ててカナダに接する街だ。湖畔の小高い丘の上に、ロイス邸はあった。  キングは決して事を荒立てる事なく、事態を解決しようと考えた。  家主との交渉で入手出来ればそれに越した事はない。  小高い丘のその一軒家の庭先には小さなブランコが揺れ、如何にも裕福と言った風情の豪邸ではない。
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