プロローグ《人形》

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違う視点から物事を考えてみる。 矛盾が生まれないように。  本当は感情が無いのではなく、嬉しいや悲しいという感情よりもはるかに大きく恐怖という感情が俺の心に居座っているから恐怖しか感じない。 だから、恐怖以外の感情は感じることができない。それならば矛盾を感じることはない。 別な視点から考えるだけで矛盾はいとも簡単に無くなる。  目に見えない恐怖にあの時からずっと怯えている。  過去に植え付けられた恐怖はなかなかとれない。  俺の場合、恐怖で他の感情が感じられないほどのことが長期に渡って行われたため時間をもってしてでも恐怖を消し去ることは不可能だ。 今までもこれからも俺は過去に捕らわれたまま生きていくことしかできない。 誰かが恐怖を消し去ってくれない限り。
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