3人が本棚に入れています
本棚に追加
明らかに周囲の運動量は少なくなり、夜が深みを濃くしていく中、僅かなる沈黙が訪れた。
その色を薄めるかの様に藤木が話し出した。
「まぁ金山編集長にしたって、本の広告収入は無視出来ねえだろう。」
「あそこはカナリの御得意様だからなっ!」
沈黙の中でも夜の色を手離さないままの菱野が叫んだ。
「ジャーナリズムのカケラもネぇー‐‥」
「あいつは新聞折込チラシでも作ってろよ!!」
悪態は更に濃色になる。
「所詮、雑誌作ってんのも儲ける為―…」
「其れはドコの編集でも同じさっ! 折込でもなっ.. 」
部屋の右斜め上に視線を移していた藤木は、そう言いながら机の上にある菱野の煙草とZIPPOに手を伸ばしてカチッ・ジュッボッ..--..と火を点けた。
「でもオマエここに来て正解だよっ」
「俺と組めば新しいスーツ、好みの色で買えるゼっ!!」
最初のコメントを投稿しよう!