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一昨日、学校帰りにいきなり鞄がほしいから見立ててくれといってきた。 旅行に行くからでかい旅行鞄が欲しいんだと。 今思えばあいつはただ鞄が欲しかったんじゃなくて僕が選んだ鞄が欲しかったのかもな。 そんなことを考えているとふと視線を感じ、彼と目をあわすことなく軽く頷くと頑なに引っかかってた鞄の紐をなんなくほどいた 「外して欲しいなら素直に言えよ(笑)」 『お前なら言わなくてもわかると思って』 そういってまたいつもの笑顔を見せるとホームに電車の到着を知らせるベルがけたたましく響いた。 『お、やっべ』 少し早足で改札を抜け、階段を駆け下りる。
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