戸惑い

3/4
前へ
/58ページ
次へ
「なによりも、俺はこの思いを、君に打ち明けたかったから‥」 先生は静かに笑う。 その表情が、すっと引き締まった輪郭がゆがみ、垂れた目元はさらに下がる‥そんな先生の表情が、俺は素敵だと感じた。 「じゃあ、先生が教えてくれるんですね。その、好きとやらの意義を。」 「あぁ、まあ。そうしてほしいなら。」 「だったら、付き合ってもいいですよ?…よろしくお願いします。」 そして、俺たちは付き合うことになった。 まだ、何も分からない、これらの気持ち。 先生が、俺を想うような感覚。それを俺は先生に抱いていない。 いつか、わかるんだろうか。 「聖。」 先生の声で現実に引き戻される。 「君はまた、俺の話を聞かずにボーとして…」 山田先生は、拗ねたように俺を見る。 立派な大人なんじゃないのかな 子供みたいに、面倒くさい
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加