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「なによりも、俺はこの思いを、君に打ち明けたかったから‥」
先生は静かに笑う。
その表情が、すっと引き締まった輪郭がゆがみ、垂れた目元はさらに下がる‥そんな先生の表情が、俺は素敵だと感じた。
「じゃあ、先生が教えてくれるんですね。その、好きとやらの意義を。」
「あぁ、まあ。そうしてほしいなら。」
「だったら、付き合ってもいいですよ?…よろしくお願いします。」
そして、俺たちは付き合うことになった。
まだ、何も分からない、これらの気持ち。
先生が、俺を想うような感覚。それを俺は先生に抱いていない。
いつか、わかるんだろうか。
「聖。」
先生の声で現実に引き戻される。
「君はまた、俺の話を聞かずにボーとして…」
山田先生は、拗ねたように俺を見る。
立派な大人なんじゃないのかな
子供みたいに、面倒くさい
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