戸惑い

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遠くの方で予鈴が聞こえる。2棟のスピーカーは、ここ最近調子が悪く、使われてない。 「あ、授業始まる‥」 机に広げてある弁当箱を片付ける。全てを片づけ終わろうとしたとき、左手首を掴まれた。 「!‥先生?」 見上げるように視線をやると、山田先生はもう片方の手を机につき、ぐっと体を俺の方へと倒してくる。 「話、聞かなかったことチャラにしてやるから‥」 別に謝るつもりないんですけど‥ さらに体を倒し、顔を近づけてくる。 「キスして‥」 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。 パシッ 俺は、空いてる方の手で先生の顔を押さえ込んだ。 「‥俺ら、付き合ってますけど、俺、男の人とそういうことするのまだ抵抗あるっていうか‥」 いや‥まだじゃないか 「むしろ嫌。」 グサッ どこからともなく、こんな音が聞こえたかと思うと、山田先生は力なく、その場に崩れていった。 「それじゃ、俺、失礼します。」 何事もなかったかのように、先生を残し、理科準備室を後にした。
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