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カイはカフェを出て、アパートに帰った。
着いた時にはすでに夜であった。
「カイ、散歩長かったね、夕飯準備できてるよ」
「う、うん、あのさ、姉ちゃん相談があるんだけど……」
「相談?じゃあリビングで聞くわ」
姉は少し緊張してるカイの表情に違和感を感じた。
リビングで2人はゆっくりと座り、カイは姉が作ってくれた野菜カレーを食べながら話始めた。
「相談っていうのはさ……」
「ケーラのことでしょ?」
「え!?なんでそれを……」
カイはまさかの姉の問いかけに驚き、言葉をつまらせた。
「あんたの最近の行動観てるとそんな感じがしたからさ」
「行動?」
姉はいつにない真剣な表情で話を続ける。
「あんた、警察に捜査状況聞くためにたまに電話してるでしょ?」
「う、うん」
姉には内緒にしててほしいって言っといたはずなんだけどな。
「まぁ、いい報告がないから不安になるのも無理はないわね。相談ってのもケーラが関係してるのかなって思っちゃってさ」
カイは一呼吸おいて、訓練所の話をきりだした。
「特殊能力訓練所ねぇ。私も聞いたことあるわ。割と最近作られたって話だけど……そこに入りたいわけね」
姉が意外にも興味津々で聞いていたので、カイも少し安心しながら話を続けた。
「姉ちゃん、受けるの許してくれる?」
そこから3分くらい、お互い沈黙のままだった。
「……どうしても入りたいの?」
「危険なのは分かってるけど、強くなってケーラを探したい!!」
カイが力強くそう話した後、さらに5分くらい姉は沈黙のまま、腕組みや足を組んだりして考え込んだ。
「いいよ、あんたの熱意に負けた。ただ、受けるからには必ず合格しなさいよ」
姉は笑顔でそう話した。
「姉ちゃん、ありがとう。後、入所金のことなんだけど……」
「心配しないで。父さん母さんの貯金や保険金もある。子供のために使うんだから、2人とも許してくれるわ」
カイは姉の優しさに、嬉しさと申し訳なさも感じていた。
「ケーラが生きてることを願うけど、あんたも戦いとかで万が一死んだりしたら絶対嫌だからね!!ほんとは入らせたくない気持ちもまだあるんだから!!」
姉は目を潤ませ、今にも泣きそうな顔をしている。
「な、泣かないでよ、姉ちゃん。まだ、試験も受かってないのに」
カイはその後、一晩中姉とケーラとの思い出を語り合った。
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