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あれから4日後、試験前日……
「姉ちゃん、行ってくるよ」
カイは少し固い表情をしている。
「リラックスして受けてきなさいよ、落ちてもともとな気分でね」
「う、うん」
青空が広がる天気の中、姉は精一杯の笑顔でカイを和ませながら駅まで送り、帰っていった。
特殊能力訓練所は、カイの住む街から、500Km以上離れたサンロークという街にある。
カイは電車でゆっくり本を読んだり、仮眠をとりながら緊張をほぐしていた。
数時間後……サンロークに着き、訓練所近くのホテルへ向かう。
いよいよ明日かぁ~、どんな面接官なんだろう、恐い感じだったら嫌だなぁ……俺以外にも明日受ける人いるのかなぁ。
色んな不安がカイの心を交錯しながら、夜は過ぎていった。
そして試験当日……
カイはあまり眠れなかったようで、目が赤くなっている。
いゃあ~、見事に眠れなかったなぁ。ちょっと目痛いし、枕が違うとやっぱ寝付けないや。
カイは着替えをし、朝食をとり、試験準備をすませ、訓練所へ向かった。
外は雨がシトシトと降っている。予報では1日中、雨である。
う~ん、天気はよくないけど面接ではうまくいくといいな。
10分後、訓練所に着く。訓練所は4階建てで横に広い造りであった。入り口から入ると、広々とした下駄箱がある。
多分、訓練生用かな……
「おはようございます。試験を受けにいらした方ですか?」
「は、はい!!」
スーツ姿の女性に声をかけられた。
「私は訓練所の案内人を任されている者です。どうぞこちらへ」
カイはそのまま会議室へと案内される。
「少々お待ちください、今面接官を呼んで参りますので」
そう話すと、女性は会議室を出ていった。
会議室には長い机がいくつも並べられており、パソコンや大型のプロジェクターが数台置いてある。
てか、今日は俺1人かよ。面接官は何人なんだ。難しいこと聞かれるかなぁ。
カイは目を閉じながら、面接の内容を気にして、そわそわしている。
10分後、会議室のドアが開く。
「おっはよう~、君がカイくんだね!!」
明るく高い声の挨拶とともに、男性2人が入ってきた。
これが、講師ソナーとの出会いである。
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