特殊能力訓練所編

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「さっそくだが、始めようか」 オールバックの髪型で眼鏡をかけた男性がそう話すと、薄いオレンジ色の髪をした背の高い男性とともに椅子に座る。 「私は所長のビレノ、こちらは講師のソナーくんだ。よろしく」 「よ、よろしくお願いします!!」 カイは緊張はしていたものの、元気よく返事を返す。 どうやらオールバックがビレノで、薄いオレンジ色の髪はソナーらしい。 「履歴書は持ってきたかい?」 カイは履歴書をカバンから取出しビレノへ渡し、椅子へと戻る。 「ふむふむ……」 ビレノとソナーは履歴書を読みながら、コソコソと耳打ちで話を始めた。 何話してんだろう……ああいうことされると、余計緊張するし……早く何か質問してくれよ。 およそ5分後、ビレノが質問を始める。 「待たせてしまってごめんよ。ではまず、志望動機を聞かせてもらおうか」 「はい……」 カイはじっと2人を見つめ、手を握り締めながら、妹がさらわれた経緯、強くなって探しに行きたいという思いを伝えた。 「動機は分かった。妹さんを助けたいということだが、君の能力は?」 「予知能力です」 ビレノが間髪いれずに聞き返す。 「もっと具体的に!!」 カイは慌てた表情で話を続ける。 「あっ、は、はい、数秒先の未来が予知できます」 すると突然、今まで黙っていたソナーが椅子から立ち、猿のようにカイに飛び掛かった。 「うわぁあっ!?」 カイは叫び声と同時に、ソナーが素早く繰り出してきた拳を、右に転がりかろうじてかわした。後、数cmで顔面をとらえていただろう。 「これがお前の能力か……」 ソナーが初めてカイに話し掛ける。 「な、何をするんですか!?いきなり」 カイは顔をひきつらせ動揺し、足が震えている。 「……ちょっと珍しい能力だから試してみたかったもんでな。てか、お前、訓練所に入ったら、この程度のことは日常茶飯事だぞ。色んな性格の能力者と訓練をともにするんだからな」 ソナーは薄笑いを浮かべながらそう話した。 「ソナーくん、そろそろ戻ろうか」 ビレノが落ち着いた口調で、ソナーを席に戻す。 カイもゆっくりと立ち上がり席へ戻った。 そして、ビレノは何事もなかったように話を続ける。
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