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「動機でも聞いた妹さんをさらった男だが、一筋縄ではいかない相手かもしれない」
ビレノの表情が一段と険しくなる。
「正体を知ってるんですか!?」
カイは立ち上がり、2人のもとへ詰め寄る。
「警察からうちに協力要請が入ってな。その時に聞いた情報では奴はダークロードという組織の一員らしい。前に警官が行方不明になった話は聞いてるかい?」
「は、はい、聞いてますが……」
「ある警官と同じ筆跡のメモが現場で見つかってな。多分、男を見つけた時に書き残したんだろう。それには、犯人がダークロードの四帝であると記されていた」
ダークロード……四帝……
カイは組織絡みの事件と聞き、不安が大きくなった。
「あの、ダークロードってどういう組織なんですか?」
ビレノは腕を組み、話を続ける。
「数年前から特殊能力を使って人をさらい、生物との融合実験を繰り返してる。その実験体は殺戮集団として街などで暴れているんだ」
融合生物、殺戮集団だって……やばい、俺はとんでもない組織を相手にしようとしてたんだ……
ビレノの話を聞くうちに、カイの顔が真っ青になっていく。
すると、ソナーが追い打ちをかけるかのように話す。
「妹さんを探したいのなら、相当の覚悟が必要だぞ。うちの生徒でも、実際融合生物と戦ったのがいるが、みんな苦戦を強いられている。私も何度か戦ったことはあるが、予想以上のパワーだった」
……どうしよう
「覚悟はあるのか?」
ビレノはカイに強めの口調で問い掛ける。
ケーラ……
カイは目を閉じ、沈黙したまま、ケーラとの思い出を振り返った。
「あります!!」
数十秒後、カイは大きく目を開き、キッパリとそう答えた。
すると、ソナーが席を立ち、カイの頭の上に右手を置いた。
「そうか…………よし、その覚悟が口だけじゃなく本気かどうか私が見てやる」
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