第二章 独白

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やはり先生御一人でした。 あの子は帰ったよ、とだけ仰いました。 そして、俺が知らないのは不公平だからと、先生は教えてくださいました。 彼女が何処から来たのか。 何故来たのか。 その話はまるでお伽噺のようでした。 大体の者が、そんなことがある筈がない、と一蹴するような話です。 しかし、俺は納得していました。 その話を聞くことで、彼女の言動の不可解な部分の辻褄が合ったからです。 其れだけではありません。 先生は勿論、彼女が嘘をつくことがないからです。 このような状況下で嘘を言う余裕が無い、というのも勿論のことですが。 先生は笑っておられました。 今にも崩れてしまいそうな笑みをどうにか出来るのは彼女しかいません。 俺は歯痒く感じました。
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