1224人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は問い詰めました。
何故藩邸から出してくださらぬのか。
何か隠しておられるのではないのか。
桂先生はのらりくらりとかわされましたが、俺のしつこさにだんだん言葉が詰まり始めました。
やがて懇願するように俺に仰るようになったのです。
頼むから戻らないでくれ、と。
俺は先生についていくと決めたのです。
いくら桂先生でも邪魔をされるのは許し難いことです。
そう言うと、桂先生は観念したように項垂れました。
そして俺に紙を渡しました。
先生から桂先生に宛てた文です。
俺が今日、桂先生に持ってきた文でした。
思わず文と桂先生を交互に見つめました。
読むよう促され、躊躇いながらも文を開きました。
最初のコメントを投稿しよう！