第一章 思わぬ再会

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それ以上、大和田は何も聞けなかった。 聞くな、という無言の圧力があった。 真理亜は何喰わぬ顔で世間話へ戻す。 二人の間でその話が出ることはなかった。 しばらくすると大和田は壁の時計を見た。 立ち上がり、 「そろそろ帰るよ。終電が無くなっちゃうから」 「うん、じゃあ月曜ね」 「嗚呼。真理亜、文献のこと忘れるなよ」 「解ってるって」 大和田は笑って手を振り、帰っていった。 真理亜も笑顔で玄関から見送る。 ドアが閉められた後、背中を伸ばしながらリビングへと戻った。 缶を次々とゴミ袋に突っ込みつつも、真理亜の思考が巡った。 【あの仕事を失敗したことに後悔が無いのは本当。だけど…】 あいつを死なせたことの後悔は残っている。
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