プロローグとは単なる前置きでしかない

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「……説明も何も、私は動機がないと言ったの忘れました?もしあるとするなら、説明して頂かないと、分かるものも分かりませんよ」 「そうですね。麗奈さんのおっしゃったことは御尤もです。では、動機について説明をします」  青年は一度言葉を区切り、また口を開き話し始めた。 「凡そ22年前、麗奈さんが21歳の頃です。彼女は才仲市の料理教室に通っていました」  青年は再び口を閉じ言葉を切る。それには理由があった。 「麗奈さん、それは本当の事ですかな?」  それは新崎警部が、事実であるかを麗奈に確認する為である。  警部もわかっていたのか、青年が口を閉ざして間も無く麗奈に尋ねていた。 「え、えぇ……確かに21になって直ぐの頃、料理教室に通い始めました」  麗奈は何故、青年が知っていたのかと驚きの表情をし、警部の問いに答えた。  確認をとった警部は、青年へと顔を向け合図をするように頷く。  青年も頷きの意図を読み取ったように、また言葉を紡ぎ始める。 .
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