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「それも神父の仕事なの?」
不安そうに言うマルスを見て、ディダは笑いながら、
「違う、違う、これは俺の趣味さ!」
そう言った。
マルスは目を真ん丸にする。
「趣味?」
「そう趣味だ。 あの頃からだなぁ~。
こういう事をやり始めたの」
昔を思い出してか、微笑むディダを見て、
「ディダって笑うんだ……」
マルスの一言は、不思議な体験でもした様な言いぐさだ。
「笑って悪いかよ!」
いつもの調子のディダに戻る。
確かに自分も笑っていなかった事に気付く。
本当に笑うなんて久しぶりだ。
染々、自分がマルスにやって来たことを振り返ると、ついつい怒鳴っていたことに気付き、情けなくなった。
そんな情けない状態な時だ。
「ねぇ、知ってる?」
マルスは何かをゆっくり訪ねる。
「何だよ?」
ディダはマルスがどんよりして暗い顔に少し驚く。
「バンパイアは人を襲うバンパイアは二通りいてね。
よく夜にバンパイアが人を襲うのは夜帝と言われる、貴族並な生活をする夜の者で、普段は人を滅多に襲わず、動物達から少しだけ血を分けて貰い、日を浴びれる平凡で平和な生活をする日の者がいるんだよ」
「……」
何が言いたいのか分からずただ頷くだけ、しかし悲しみは表情だけでなく語る声も悲しみに満ちていた。
「ある時、夜帝の頂点の者が一人の日の者と恋に落ち、子を産んだ。
それは夜の者と日の者は決して交わっていけない事を知らずに……。
その子は日の者に似て、穏やかな性格と日を浴びても大丈夫だったが、一つだけ夜の者と日の者と違う性質があった。
そう、人の血どころか動物の血さえ飲めないバンパイア……。
血を唯一飲めるのは同族のバンパイアの血だけ……」
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