第1話プロローグ

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  「クスッ……」 マルスは二人のやり取りが面白いらしく、つい吹き出す。 確かに周りから見れば漫才みたいな感じだ。 「マルスお前なぁ~」 「だって面白いんだもん」 ディダの突っ込みもなえなえと弱く、マルスはもう面白くて笑いが止まらない。 「ここまで笑える様になったのか、お前にしては上出来だな」 嫌味にも感じる言葉だが、これは本当に感心していて、内心驚いているのだ。 「そりゃどうも、てか、何しに来たんだよ? マルス見にか? それとも仕事か?」 やはり、ディダは嫌味と受け止め、ゆっくり姿勢を正す。 「いや、違う違う、教会での噂があってな……」 アダムは真剣な目をして、言葉を濁す。 ディダはまた良からぬ事だろうと内心呆れ、一方マルスはその言葉の濁し方に怯えディダの後ろに隠れた。 ディダとアダムは何故隠れたかよく分からなかったが、とりあえず立ち話もと思い、家に入る事にした。 いつもの殺風景な食卓を見て、 「お前も少し物を置いたらどうだ?」 アダムが言った。 「ちょくちょく移動するのにそんな物置いても意味無いし、下手すれば盗まれるだろうが……てか、噂が何だって?」 ディダはこの状態で十分とばかりに言い張りつつ、話を元に戻す。 多分下らない話だろうと高をくくって……。 「近頃、バンパイア狩りを大掛かりにやっている地域があってな……」 「魔女狩りや悪魔狩りに飽きずに今度は、バンパイアかよ……。 魔女もバンパイアも、一応上級の悪魔だって、コッチが手を出さなければ何もしないのにな」 「まぁ、そんな事も知らずに、手を出して酷い目に遭ってからじゃないと気付かないんだよ、人間はね」  
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