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「クスッ……」
マルスは二人のやり取りが面白いらしく、つい吹き出す。
確かに周りから見れば漫才みたいな感じだ。
「マルスお前なぁ~」
「だって面白いんだもん」
ディダの突っ込みもなえなえと弱く、マルスはもう面白くて笑いが止まらない。
「ここまで笑える様になったのか、お前にしては上出来だな」
嫌味にも感じる言葉だが、これは本当に感心していて、内心驚いているのだ。
「そりゃどうも、てか、何しに来たんだよ? マルス見にか?
それとも仕事か?」
やはり、ディダは嫌味と受け止め、ゆっくり姿勢を正す。
「いや、違う違う、教会での噂があってな……」
アダムは真剣な目をして、言葉を濁す。
ディダはまた良からぬ事だろうと内心呆れ、一方マルスはその言葉の濁し方に怯えディダの後ろに隠れた。
ディダとアダムは何故隠れたかよく分からなかったが、とりあえず立ち話もと思い、家に入る事にした。
いつもの殺風景な食卓を見て、
「お前も少し物を置いたらどうだ?」
アダムが言った。
「ちょくちょく移動するのにそんな物置いても意味無いし、下手すれば盗まれるだろうが……てか、噂が何だって?」
ディダはこの状態で十分とばかりに言い張りつつ、話を元に戻す。
多分下らない話だろうと高をくくって……。
「近頃、バンパイア狩りを大掛かりにやっている地域があってな……」
「魔女狩りや悪魔狩りに飽きずに今度は、バンパイアかよ……。
魔女もバンパイアも、一応上級の悪魔だって、コッチが手を出さなければ何もしないのにな」
「まぁ、そんな事も知らずに、手を出して酷い目に遭ってからじゃないと気付かないんだよ、人間はね」
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