第1話プロローグ

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  見ていたアダムは、 「お前、意外と子育て上手だな……」 何となく出た言葉に、 「別に子育て上手になったんじゃない、されたんだ!!」 イライラを必死に耐えながら、ディダは無理矢理な笑顔で言う姿が、逆に怖すぎてマルスが泣き出しました。 その夜。 「ジジィ……何故まだ居る!?」 寝る時間帯になってもアダムが居座って、ディダは苛立ち中です。 「まぁ、子供が寝る時間に居たって良いじゃないか。 それにマルスは寝ているのだろう?」 アダムは木のコップに酒を注ぎ入れ、ディダに渡す。 「……あぁ、もう寝かせた。 で、あの話ね」 ディダは木のコップを取り、椅子に座る。 マルスの様子がおかしかった分、バンパイアの話をマルスが寝た後に話す様だ。 何故、バンパイアの話で怯えたのだろうか。 何故、あの時マルスがバンパイアの話を……。 考えれば考えるほどに嫌気が刺し、酒の入った木のコップを一気に飲み干す。 「……!!!?」 何か異様な味……。 「あっ! バレた?」 アダムはお茶目な顔でディダを見る。 「お前……アレほどワインと日本酒入れるなって言っただろう……」 ワインと日本酒をブレンドした様だ。 「いやぁ久しぶりに日本酒見付けたんでねぇ、いつ日本に行ったんだお前?」 「話を反らすな! ついでに俺の酒をブレンドすんな!」 しかし、ワインと日本酒をブレンドしたらどうなるのでしょうか……。 「とりあえず、話を戻すか」 「……」 無理矢理アダムは話を戻し、ディダは話を戻せない顔した。 無理もない、自分の酒をブレンドされたのだから。 「そのバンパイアを見付け次第、保護してくれないか? あの神父はどうも、私利私欲が強すぎる……。 バンパイアも仲間意識の強い部分がある分、もし、その者を殺せば、街を2つ3つは消されてしまう。 かと言って、あの神父に渡ったら何仕出かすか……」 「……分かりました。 て言うか、もう保護ってますがね」  
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