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「これからどうしよう……。
もうディダに迷惑掛けられないよな……」
マルスは天井を眺め、一人呟く最中、急に戸が開き慌て戸の逆方向を向き目を瞑る。
「マルス……って寝てるよな」
来たのはディダだ。
ディダはそっとマルスの寝ているベッドの脇に座り、優しくマルスの頭を撫で、
「明日、ちょっと他国に行くんだが、マルスも来てくれないか?
彼処はかなり変わった文化が進歩していて、正直ここより好きだ。
まぁ、戦は耐えないがな。
でも他に世界があるって知って貰いたい、ただそれだけなんだ。
一人で喋りすぎたな、じゃ明日朝イチで出掛けるから、おやすみ」
明日の話を終え、部屋を出た。
マルスは急に訳も分からぬまま涙が頬に伝う。
ディダが自分をこの国から逃がそうとしてくれてる……。
いや、ディダはあの時昔話みたいに伝えたから、もう知っていると思う。
そう、ディダなりの優しさだ。
分かった瞬間、マルスは枕に泣きじゃくった。
「もう、ここから出なきゃ……」
マルスはディダに、これ以上迷惑を掛けていけないと判断した。
そして朝……。
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