第1話プロローグ

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  マルスの目の前に縄が迫って来た。 突然だった。 目の前の縄が消えた。 違う、男が誰かに吹き飛ばされたのだ。 しかもそれだけじゃない。 次々と男達が吹き飛ばされ、周りはパニックになる。 「恐れるではない! 我々には神がついている! さぁ、弓矢を構え悪魔を退治するのだ!」 真っ黒な服を纏った男の声で皆が弓矢構え、狙いを何処でもいいから定めた。 先程までのパニックが嘘のように静まり返る。 一人の男はつい緊張の糸が切れ、集中が散漫になった。 その瞬間だ、その瞬間を狙ったように男は吹き飛ばされる。 また騒ぎだし、完璧にパニックになった者達は、適当に弓矢を放ち始め、状況は一気におかしくなった。 また一人、また一人と消え。 マルスを押さえ付けていた男も、吹き飛ばされいなくなった。 ついには真っ黒な服を纏った男だけとなり、即座にマルスを無理矢理盾のように腕で首を絞める。 「誰だ! 神の下、姿をあらわせい!」 男の声で、姿を表したのは、 「何が神だ、このエセ野郎」 機嫌が凄く悪いディダだ。 「ディダ!」 マルスが驚いていると、 「このタコ助! 誰がお前を殺しかよ! それにエセ野郎に捕まってバカだろお前?」 「ごめんなさい!」 ディダの怒号で本気で泣く。 「貴様……お前神父だろ!?」 男が会話を割って入る。 「んっ? あー、一応そうだけど?」 「なら私がやろうとしている事が理解するだろ?」 「全然」 ディダの驚く程にやる気のない態度。  
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