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男性と子供は食卓にいた。
暖炉に薪をくべ、火をつけた処で、具が沢山入ったスープの鍋を入れる。
しばらくして、グツグツと良い音と香りが部屋中に周り、それを待っていたかのように、男性は鍋から具が沢山入ったスープを木の器に移し、
「食べろ」
子供の前に置いた。
「……」
子供は俯いたまま何も言わない。
ましてや食べようとしない。
男性も自分の分のスープを持って子供の前に座る。
「いただきます……どうした食えよ。
冷めちまうだろ?」
男性は先にスープを食べ始める。
「……」
「誰も丸々太ってからお前を食わねぇよ」
飽きれつつ先程聞こえた事を思いだし、フォローするも何も言わない。
どうしようもない間が開く。
丁度その時、戸を叩く音が聴こえた。
「ディダいるか?」
外から声が聞こえてきた。
男性が急に不機嫌になり、立ち上がりそのまま戸を開けた。
「何だよ、クソジジィ……仕事ならお断りだ」
男性の目の前に居たのは、若い金色の断髪の男性がいた。
「仕事じゃないよ。
何だ、今から食事か?」
若い男性が困った笑顔で家の中を覗く。
「うるせぇな、そうだよ。
…………食うか?」
嫌そうな顔で考えてから言った。
「じゃあ頂こうかな」
男性の嫌そうな顔を気にせずにお言葉に甘えた。
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