第1話プロローグ

5/27
前へ
/611ページ
次へ
  男性と子供は食卓にいた。 暖炉に薪をくべ、火をつけた処で、具が沢山入ったスープの鍋を入れる。 しばらくして、グツグツと良い音と香りが部屋中に周り、それを待っていたかのように、男性は鍋から具が沢山入ったスープを木の器に移し、 「食べろ」 子供の前に置いた。 「……」 子供は俯いたまま何も言わない。 ましてや食べようとしない。 男性も自分の分のスープを持って子供の前に座る。 「いただきます……どうした食えよ。 冷めちまうだろ?」 男性は先にスープを食べ始める。 「……」 「誰も丸々太ってからお前を食わねぇよ」 飽きれつつ先程聞こえた事を思いだし、フォローするも何も言わない。 どうしようもない間が開く。 丁度その時、戸を叩く音が聴こえた。 「ディダいるか?」 外から声が聞こえてきた。 男性が急に不機嫌になり、立ち上がりそのまま戸を開けた。 「何だよ、クソジジィ……仕事ならお断りだ」 男性の目の前に居たのは、若い金色の断髪の男性がいた。 「仕事じゃないよ。 何だ、今から食事か?」 若い男性が困った笑顔で家の中を覗く。 「うるせぇな、そうだよ。 …………食うか?」 嫌そうな顔で考えてから言った。 「じゃあ頂こうかな」 男性の嫌そうな顔を気にせずにお言葉に甘えた。  
/611ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2671人が本棚に入れています
本棚に追加