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若い男性が子供に気付き、
「おや? 子供がいるなんて珍しいな……。
ディダ、お前が拾って来たのか?」
そう言いながら席に座る。
「……ディダ?」
子供が人前で初めて言葉を発した。
「あぁ、この変わった髪型をした男がディダだ」
若い男性がニコニコ答えると、
「ほらよ、俺の前では一切話さなかったくせして、クソジジィの前では話すのか」
若い男性の前にスープを置き、ディダは嫌みを言う。
内心、ディダは自分ではなく若い男性に先を越された気がして気に食わないだけだが、反って子供が緊張し怯えさせていた。
「お前はもう少し素直にならんのか?
怯えてるじゃないか、私はアダムだヨロシクな」
アダムは子供に自己紹介し、頭を撫でようと手を伸ばすと、
「……!!」
子供が何かを思い出しアダムの手を払いのけ、体を震わせながらますます怯えてしまった。
「……?」
子供の様子を見て、何処かで戦に巻き込まれたか、或いは大人に酷い目に合わされたのだと感じた。
「まさか、まだ痛いのか?」
ディダは別の方面で気にしていた。
そうあの時、昨日蹴飛ばした事をあまり言葉にしないように言ったつもりだが、
「お前、子供に何かしたのか?」
アダムに色んな意味で白い目で見られました。
「違うわ!!!!
背後に殺意みたいなのを感じて……」
「感じて?」
ディダから大量の汗が吹き出る。
「いや……その……」
「いやその?」
アダムの背後から異様なオーラが漂う。
もう逃げ切れないと悟り、仕方がなく昨日の夜の事を話した。
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