秋の嵐

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誰に対しても分け隔てなく不器用で優しくて気を使う、余計な事に首を突っ込んでは最後は自分自身が傷ついてしまう、ホントにバカ正直で物差しのように真っ直ぐ… 昔も今も彼への印象は全く変わってはいない…おそらくこれからも彼のこの性格は変わらないだろう。変わらないからずっと素敵なんだ…変わらないから悩むんだ…変わらないから、変わらないからきっととんでもなく傷つくんだ… 「浮絵さん?」 「………」 「ねぇ浮絵さんてば!何ボォ~とした顔して、このおかき美味しいですよ?」 「は……あ、ハハ、そ、そう良かった。」 事務所の後片付けをした後、浮絵が差し入れた出張土産の豆おかきを美味しそうに頬張りながらカツオは丸い目で上の空の浮絵を眺めた。 「カツオ君って変わらないよね…昔から。」 「ハハ…バカなんですよ、要領が悪いというか先を読めないというか…」 カツオは浮絵におかきを手渡すとコーヒーにも合いますよコレと笑顔を見せた。 「まぁ何ツゥカ…空気読めない正真正銘のバカだから好きな人一人も幸せに出来なかったんですね。」 その言葉に浮絵は必要以上に反応した。 「か…あの小学生からの同級生の?」 カツオの堅い横顔を見て浮絵はそれ以上言葉を返さないでおいた。 「…まだ…忘れられないんだ…」 「………」 やってしまった!いちいち聞かなくていい質問だった…その答えを聞いて自分はどうするつもりなのか、浮絵は自分のバカさ加減に小さくため息をついた。
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